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一ヶ月以上も放置して、何か書いたと思ったら別館(しかもまだ何も無い)の宣伝だったりして、本当に申し訳ありません。 曽芭は一週間に丸二日くらいの濃度で萌えているのですが、もう、ね。萌えればいいってものではありませんね。 今年も何かこう、これだ! というネタを思いついたらしたためる程度のだるだる進行になると思います。それでもよろしければ、どうぞよろしくお願いいたします。 何気に一月のインテックス大阪に行きました。 何がすごいって、パンフレットの注意事項漫画! 日和人気のすごさを見せ付けられました! PR ここから先は芸能二次創作Blogです。
僕が風呂から上がりあてがわれた客室へと戻ると、風呂の順番を待っていたはずの芭蕉さんが仰向けに転がって寝入っていた。まだ女将が布団を敷きに来るには早い時間なので、もちろん畳の上に直接にだ。いくら疲れていたとしても、こんなものは子供の所業だ。僕はそれに歩み寄ると、ちょうどこちら側に傾いていた芭蕉さんの顔面を蹴った。とたん、鼻が詰まったような聞き苦しい声を漏らし、芭蕉さんが弾かれたように身を起こす。両手で鼻を押さえながらこちらを見る目はさっそく涙ぐんでいた。
「風呂が空きましたよ」 芭蕉さんが何か言う前に、僕は言った。寝起きのためか、芭蕉さんはとっさに僕に対する非難の言葉が出てこないようで、数秒の間何やら考えていた後立ち上がって部屋を出て行った。そっかあ、じゃあ行って来る、と呟かれた声は明らかに詰まっていて、もしかしたら鼻血が出たのかもしれないと思わせる。だとしたら、今風呂に行くのは危険だ。血が止まらなくなる可能性がある。 それはともかく、僕は部屋の窓を開けることにした。窓、と言っても紙張りのその窓を外から透かす光は何もなく、開けてみると外は案の定新月だった。その傍らに腰を下ろし、濡れた髪が風に吹かれる心地をしばらく楽しむ。 それからしばらくして、女将が部屋に布団を敷きに来た。女将が手際よくその作業を終え、部屋を去ってしまっても芭蕉さんはなかなか帰ってこない。あの人は長風呂な性質ではないので、これは本当に血が止まらなくなったのかもしれない……などと思っていたら不意にふすまが勢いよく開いた。 「曽良君のせいで鼻血が止まらないよ~~っ! どうしてくれんだこの暴力弟子!」 もう鼻を押さえ続けることをとっくに諦めたらしい芭蕉さんが、ぼたぼたと鼻から血を垂らしながら立っていた。その着物は衿ぐりから胸元まで血で汚れていて、風呂でそれなりに清められたはずの肌にまでそれは及んでいる。僕が思わず舌打ちを落とすと、芭蕉さんは心外だと言わんばかりにまた大声を上げた。 「何舌打ちなんかしてんの!? 元はと言えば曽良君の……」 芭蕉さんが言いかけた言葉を噤んだのは、僕が立ち上がって彼のそばに歩み寄ったのが原因だろう。 僕が間近に近づくころになってもまだ廊下に立ったままだった、それどころか後退りそうになった体を腕を引いて乱暴に部屋の中に引き入れる。引かれる腕に合わせて転びそうに傾いだ体を、うつぶせになってしまわないように胸元で支え、空いたほうの手でふすまを閉めた。僕の手のひらに触れた布地にも血が染みこんでいて、ぬるついた感触が気持ち悪い。 「人のせいにしないでください」 芭蕉さんの両肩を掴んで、わずかに上を向く姿勢を取らせる。 芭蕉さんが、自分の両肩を掴む手を見たそうに首を廻らせようとしたので、僕は「動くな」と声と目でそれを制した。とたんに、芭蕉さんはびくりとして動きを止める。怯えたように見える目線と止まらない鼻血が妙にこっけいで、僕は先ほど苛立った気持ちの比重が愉しみのほうに傾いていくことを自覚した。 「血が出ているのに風呂に入るなんて。どこか汚したりしなかったですか」 「し、してないよ……多分」 多分、のところはほとんど聞き取れないほどの小さな声だ。 「馬鹿が……」 「しっ師匠を馬鹿って言うな! だいたい元はと言えば君が」 「血が止まるまで動かないでください。板間ならまだともかく、畳や布団を汚したりしたら一泊分の代金じゃ済みませんよ。その分を芭蕉さんの食事代から回していいのなら僕は構いませんけど」 「それは嫌だ!」 「芭蕉さんの宿代からまわすのでも構いませんが……」 「師匠だけ野宿しろってこと!? それもやだやだ!」 「じゃあ血が止まるまでそのまま上を向いてじっとしていろ、馬鹿じじいが」 僕が言い捨てて両肩を離すと、もう体は自由になったのに芭蕉さんは射抜かれたように身じろぎもしなかった。最初からそうしていればいいのだ。 手を洗ってきます、と僕がその部屋を離れ、戻ってきても芭蕉さんの姿勢はそのままだった。ふすまを開けた僕のほうを目線だけでちらりと見て、居心地悪そうに眉根を寄せている。血はまだ止まっていないようだった。 「何も立ったままでいろとは言っていませんよ。じゃあ、おやすみなさい」 僕はその横をすり抜けると、床につくために部屋の明かりを消した。何しろ今日も長く歩いたから、早く休んでしまいたかった。
急がなければ日が暮れる。
どう考えても事態は切迫していた。今いる場所は、日が暮れる前に次の町に到着できるかできないか、そんなぎりぎりの場所だ。どうせならもっと次の町からも前の町からも離れた、街道のど真ん中のあたりだったらよかったのに、こんな場所では野営をするにも気を使う。まさしく今の僕らのような、日暮れまでに町に入り損ねた旅人を狙う追い剥ぎがこういう場所には潜んでいるものだからだ。 「急いでください、芭蕉さん」 「ま、待って……曽良君……」 一日山道を歩いただけでこんな状態になるのだから、歳は取りたくないものだ。少し足を止めて振り返ると、芭蕉さんは何とかよろよろと後をついてきていた。その姿を確認し、僕はまたすぐに前を向いた。本当に急がないと、本当に日が暮れる。僕は野宿が嫌いだ。地面は硬いし風は冷たい。その上、芭蕉さんはそんな場所でもすぐに熟睡してしまうので、結局強盗の類に気を配るのは僕の役目になってしまうからだ。 せっかくなら前を歩いていてくれれば、その尻を蹴飛ばして急がせることもできたのに。以前、進むのを嫌がった芭蕉さんの首に縄をつけて歩いたことがあったが、あれは僕のほうが疲れるしその後の芭蕉さんの言動も普段の五割り増しでおかしくなっていたのであまりやりたくない。 考えたところで特にいい案も思いつかなかったので、僕は諦めてそのまま歩を進めた。わざとやっているんじゃないかと思うくらいうるさい芭蕉さんの呼吸音はちゃんと背後についてきているし、もしもそれが聞こえなくなったとしても、このまま進めば僕は町に入れるだろうから問題ない。追い剥ぎだって、弟子とはぐれて泣き喚いている近寄りがたい中年には、まあ、近寄らないだろう。近寄ってもどうせ何も得るものはないし。芭蕉さんのトランクには金目のものは何も入っていない。 そうだ。 僕は再び足を止めて振り返った。 「芭蕉さん、どうしてもそれ以上急ぐことができないのなら、僕に考えがあります」 「な、何……? あ、もしかして君がおぶってくれ」 「とりあえずここまで来てください」 芭蕉さんの口が、意気消沈したように溜息を吐きながら閉じた。 数秒待って、僕のそばまでたどり着いた芭蕉さんの手からトランクを取る。 「で、弟子が何だか優しい……」 何か勘違いしているらしい。 僕は芭蕉さんの呟きを聞き流して、ひとまずトランクを自分の足元に置いた。それから、両手を芭蕉さんの衿合わせにかける。とたんに、困惑したような声が聞こえた。無視してそのまま肩口から着物を引きずり下ろそうとすると、芭蕉さんは僕の手から逃れて背後に飛び退った。 「何だ、元気じゃないですか」 「なななななな何するんだよいきなり! 松尾、今にも倒れそうなんだよ!?」 僕は逃げそうになった芭蕉さんを捕まえ、その帯に手をかけた。 「だからですよ、もう歩けないんでしょう。だったら芭蕉さんはここで野営をするしかないじゃないですか。でも、そのままの身なりでは追い剥ぎの餌食になります。芭蕉さんのトランクにくたびれたぬいぐるみしかないなんて、はた目からはわかりませんから」 「そ、それは弟子男が私にお金を持たせてくれないからじゃないか!」 「そこで、芭蕉さんがひとりで野営をしていても追い剥ぎに狙われない方法を思いつきました。すでに追い剥ぎに遭ったように見せかけるんです。下着くらいつけているでしょう。トランクと着物を大人しく僕に寄越して、あとはここで寝るなり何なりしてください」 芭蕉さんは僕の言っている意味を理解したのかしていないのか、帯を解こうとした僕の腕を掴んで抵抗してきた、が、特に邪魔にはならない。ただでさえ腕力は僕のほうが上なのに、そのうえ今の芭蕉さんは疲れきっている。一分もしないうちに芭蕉さんは先ほど僕が言ったとおりの格好になった。そしてそのころには、恨みがましくめそめそと泣いていた。 「ひ、酷いよ曽良君……!」 「乳を隠すな乳を」 もしかすると乳を隠そうとしたわけではなく、ただ単に寒さのために自分の両腕を抱いていただけかもしれないが、僕は芭蕉さんに回し蹴りを食らわせ再び町に向かって歩き始めた。途中、置きっぱなしになっていたトランクを拾い、剥ぎ取った着物を無造作に突っ込む。 芭蕉さんと遊んでいたために、日暮れはいよいよ差し迫ってきたようで空はもう真っ赤だ。僕が足早に歩いていると、背後からまた荒い呼吸がついてくる。しかしそれは先ほどまでとは違い、僕がいくら歩いても離れていくことはなかった。まったく、まだ歩けるのなら最初からそうしていればいいのに。下着しか身に着けていない中年が、息を荒げて若い男の後を追っているのを見て、町の人たちがどう思うかわからないのだろうか? 二次創作テキストBlog
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